第6回キャチロボバトルコンテスト参戦記
先日、9月11日に京都で行われたキャチロボバトルコンテスト(通称キャチロボ)に参加してきました。
この大会は、今年3月にできたものづくりプロジェクト『technologica』としての初めてのロボコンでした。結果としては惜しくも予選敗退でした。
“キャチロボバトルコンテストとは、大学生・高専生の技術レベル向上の支援、本気で「ものづくり」に取組む姿勢を応援する目的で創設されたロボコン(ロボットコンテスト)です。
課題のクリアを通してマテリアルハンドリングの技術を学び、大会後に、技術的なアドバイスを受けることができます。
この大会を通じて、参加者の技術レベル向上を図ります。”
ー公式サイトより
本記事では経験を来年度の大会やNHK学生ロボコン、新規参加予定者に向けて少しでも役に立つように、製作の進め方や私たちの改善点などについて取り上げていきたいと思います。内容はプロジェクト内部で行ったアンケートを参考にしました。
◆設計製作スケジュール
3月
機構アイデア出し(フレーム・土台・アーム設計)
4月
全体模型設計(出てきた案が実現可能かどうかの検証)、新入生教育
5月
6月
フレーム製作、アイデアシート提出、部品提供のためのプレゼンテーション
7月
アーム正式版設計、フレーム製作
8月
アイデアシート修正、アーム製作、分別箱の設計、フレーム・土台製作
9月
分別箱製作
本番1週間前
アーム加工、肉抜き、レール脱輪解決、 レールガイド製作、 肉抜き、モーター変更に伴う固定部品の設計製作、ラックレール固定
◆機体データ
◆回路データ
◆キャチロボの設計、加工時にどのような工夫をしましたか?
・アームに関して強度が高く、ワークを一度に多くとれるように設計し、加工時には精度が必要なものとそうでないものを考えて加工した。
・全体がシンプルな構造になるように構想を練った。
・誤差がないように寸法に気を付けた。
・実現可能か精査しつつ詳細設計をする
・強度を確保しつつ肉抜き
・素早い製作
・重量をできるだけ減らした
・それなりに荷重がかかる場所なのでトルクが出るように。
・なるべく精度を高く、肉抜き以外はほぼフライスでの加工。
◆キャチロボの加工時に想定とは違ってうまくいかなかった要素はどのようなものがありますか?
・強度を強くしようとしたら重くなりすぎたためかなりの肉抜き作業が必要になった。
・思いの外アルミ材の強度が強かったのでもう少しアルミ材を細いものや薄いものにする必要があった。
・アームを加工するときに先にアルミ板を曲げてしまい肉抜きの作業が困難になったため重量をあらかじめ図面上で計算しておくべきだった。
・全員でいざロボットを組み上げたとき重量がオーバーした。
・想定していた完成図と違う完成図を思い描いているものがいたため設計に手直しが必要になった。
・他のメンバーとの加工精度の違い(加工の上手な人が教育しなければならないと思う)
・重量オーバーが予想以上だった。
・大きさ制限に引っ掛かった。
・トルクを重視したためにスピードが極端に遅かった。
◆キャチロボ製作や本番観戦の中で、どのような技術や要素が不足していたり、身に付けたいと思いましたか?
・足回りを重く、アームを軽くすること。
・ コンストンバネなどを用いた荷重対策。
・なるべく設置が簡単なもの。(ドライバーを用いずに締めることのできる蝶ナットを用いるなど)
・3Dモデリングを大雑把ではなく詳細なところまでしっかりやり、干渉を避けたり重量を把握する。
・ 全体を把握しつつ、部品・パーツ等を設計する。
・アームのリンク機構
・エアー
・定加重バネの使い方
・エアシリンダーの使い方
・ファンを用いた吸引
・チーム力
・ボタンを押すと自動で箱の上にアームが移動するようにする。
・制御メンバーを支援できるほど制御等に精通する。
・現実的なプランを立てる。 進捗を毎日把握し、早くなったり遅くなったりしたらその都度修正していく。 予定を共有する。 でっかいカレンダー買って壁に掛けるといい。
・設計の図面の統一
◆設計や加工時にあったらいいなと思ったサポート(内外問わず)
・今回はなし
・でっかいカレンダーを壁に貼って、予定を共有する。←絶対にあった方がいい!
・ ルームにあるボール盤を使う時、工作物を固定するバイス。 3Dプリンタ。 NC工作機械(フライス)。
・設計をOB、OG、先輩、先生方に確認してもらう機会。←これ凄く重要な事
・ほう(報告)れん(連絡)そう(相談)しっかり。←これも凄く重要な事
・1週間に一度ぐらい定期的に会議を。
◆後輩や今後キャチロボに取り組む人に引き継ぎたい、引き継いだ方が良い技術や知識、設計・加工時の注意点はどのようなものがありますか?
機構
・レギュレーションの重量と設計段階での重量を確認しておく必要がある。
・安全設計をしすぎると重量オーバーになる可能性が高まる。できる限りコンパクトに美しい機体が出来ないかどうか構想段階から考えるべき。 安全性に関してはもっとロボットを信用してあげてもいいかもよです。
・重さ制限や高さ制限
・情報共有
・工場の技術全般
・3DCAD
・ラックとレールを使った機構
・重量を視野に入れた設計。
・ギアなどを用いる時はいきなり本格的に製作するのではなく、前もっての実験が必要でした
回路・制御
・回路BOXなるもの(2016年度NHKロボコン東京大学参照)
運営・スケジューリング
・設計をより早くして加工に早く取り掛かれるようにする
・パーツごとの設計を揃える必要がある 詳しくはDrive参照
・現実的な予定を立て、遂行していくこと
・1週間前には完成させる
・明確な締切日などの設定
◆キャチロボ前とキャチロボ後で変わったこと(意識・考え方)や学んだこと
・当然のことながら設計と加工のスケジューリングをきちんとしておかないとギリギリまで加工しなければならなくなるということが相撲ロボの経験でわかっていたにもかかわらず同じことが起きたのでスケジューリングをきちんとするようにしなければならない。
・説明を怠れば、違う方向にみんなが解釈してしまって皆のロボット完成図なりがちゃんと共有できない。
・拙速にならないように注意しながら何でも早めにした方がよいこと。
・予定を共有し遂行する大切さ。 工場での技術の教育。 3Dモデリングの便利さ、正確さ。
・情報共有の大切さ
・重量、トルクや速度を気にすること
最後になりますが、technologicaとしての初めてのロボコン出場を支えてくださった京都製作所やローム記念館プロジェクトの関係者の皆様、当日運搬のお手伝いを急遽請け負ってくださった先輩、キャチロボ当日の運営をしてくださった立命館大学・京都工業繊維大学の皆様、ありがとうございました。
まだまだ団体として未熟ではありますが、皆様の支えを受けてプロジェクトの残りの活動期間5ヶ月半も成長していきたいと思います。
参考
京都製作所
立命館大学RRST
京都工芸繊維大学fortefibre